⑩ジビエ革について・その1

ほぼ毎年、仕事で因島に出かけています。
本来、瀬戸内海の島々にはイノシシが生息していませんでしたが、2000年代頃から徐々に目撃情報も増え、農作物が荒らされる被害も出始めます。
背景にあるのは、本土での深刻な生存競争です。ドングリや農作物といった貴重な餌を巡る縄張り争いに敗れた若いイノシシたちが海岸線へと追い詰められました。
彼らは対岸の島影を望み、新たな生き残りの地を求めて海へと踏み出したのです。
実はイノシシは泳ぎが大得意であり、島同士が近く潮流の穏やかな瀬戸内海は、いとも容易に渡り切れてしまいます。
新天地となった島々は、柑橘類などの餌が豊富で天敵もおらず、イノシシにとって絶好の繁殖環境でした。
新天地となった島々は、柑橘類などの餌が豊富で天敵もおらず、
増殖した彼らによる農作物被害の拡大に伴い捕獲処分が進められていますが、この現象は決してイノシシの突発的な凶暴化や無秩序な繁殖が原因ではありません。
近年全国的に話題となるクマ被害と同様に、人間社会の構造の変化が直接的な要因となっているのです。
・気候変動にともなう自生植物の変容と餌の減少
・高齢化の進行による耕作放棄地の急増と里山機能の消失
・人間側の居住区の開発による野生動物の生息エリアとの急速な接近
・気候変動にともなう自生植物の変容と餌の減少
・高齢化の進行による耕作放棄地の急増と里山機能の消失
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彼らにも生活がありますので、毎日を必死に生き抜こうとする野生動物の営みを想うとき、人間と彼らとの領分を分かつ境界線の揺らぎに複雑な気分になります。
そうした中、因島では2020年代より自治体と連携した継続的な捕獲活動に加え、捕獲個体を「ジビエ」という地域の貴重な資源として還元する取り組みが活発化しています。
また、イノシシは食肉としての魅力にとどまらず、素材としての革の価値も極めて優れています。
また、イノシシは食肉としての魅力にとどまらず、
一般的には硬くゴワゴワとした質感と思われがちですが、実際はピッグスキンやペッカリーに非常に近く、驚くほど滑らかで軽く、扱いやすい性質を備えています。
地域課題に向き合いながら自然の恵みを無駄にせず価値を創出する素材として、11DROPSとしても是非プロダクトへ取り入れていきたい皮革です。


