⑰カーフについて・フランス編(その3)

カーフについて・フランス編の3回目です。
前回は発色の美しさについて書きましたが、今回は「カラーの豊富さ」について書きたいと思います。
数年前に、フランス発の世界的なハイブランドへ供給されている革の見本帳を見せてもらったことがあるのですが、それはそれは途方もないほどの色数でした。
数年前に、
様々なメゾンからのハードルの高い要望に応え続けていくうちに、少しずつ増えていったのだそうです。
このようなタンナーはフランス国内に複数ありますが、
こちらでは、ダービー(=ヴォー・エプソン)やノヴォナッパ(=バレニア)、ツェルマットなど実に様々な名作レザーを扱っていますが、定番色だけでも各数十色〜100色近く常備されていると言われています。
これらに加えて前述のメゾン別カスタムカラーが存在し、コレクションごとに毎シーズン限定色や特注色=カスタムパントンを生産していくため、歴史的に蓄積されたカラーレシピのデータベースは数千色にのぼるとのことです。
しかも革種によって染め方は異なるため、例え同じ色であっても途方もない数のレシピが存在することになりますので、途方もないお話です...。
着色や仕上げ方にはフル・アニリン仕上げ、セミ・アニリン仕上げ、顔料によるピグメント仕上げなど様々な技法がありますが、11DROPSで取り扱っているダービー(=ヴォー・エプソン)はセミ・アニリン仕上げにあたります。
着色や仕上げ方にはフル・アニリン仕上げ、セミ・アニリン仕上げ、
まずはドラム染色により革の芯まで染料を深く染み込ませ、土台となる基本的な色を作ります。これにより、コバ部分や折り曲げた部分だけが白く浮き出るのを防ぎ、奥行きのある発色の下地を完成させます(※前回の水質についてのお話に繋がりますが、この段階で「軟水」が大きく活躍するわけですね)。
その後、革の表面から超薄膜のピグメント(微粒子顔料)をスプレーなどで均一にコーティングします。これにより、パステルカラーや蛍光色に近い鮮度の高い色まで、鮮やかで力強いカラーバリエーションをムラなく表現していきます。
その後、革の表面から超薄膜のピグメント(微粒子顔料)
一通りの着色作業が終わったら、細かいシボの型を高温・高圧でプレスし、最後に表面を守る透明なトップコートを施してフィニッシュとなります。
王道のブラック、ダークブラウン、ネイビーといった定番色が美しいのは当然として、その他の色彩の数々も実に洗練されており、フランスらしさを感じさせるエレガントな風情を纏っています。
王道のブラック、ダークブラウン、
繊細な色であるパステルカラー、ペールトーン、ニュアンスカラーなどはどれも決して派手すぎず、鮮やかであっても落ち着いた気品があり、フランスの中で培われた色彩文化と美学を感じさせる説得力があります。
原色に白を混ぜた、明るく可憐でクリアなパステルカラーは、適度な彩度を残しながら華やかで可愛らしい印象を与えるカラーです。濁りのない澄んだ明るさが特徴で、代表例としてはシャーベットピンク、ミントグリーン、ベビーブルー、レモンイエローなどが挙げられます。
原色に白を混ぜた、明るく可憐でクリアなパステルカラーは、
パステルよりもさらに白が多く、淡く澄んだ色がペールトーンです。
そして、グレーやベージュが混ざった曖昧でシックなくすみ色がニュアンスカラーです。「ニュアンス=
以上、アース社ではこのような感じなのですが、その他デュ・プイ社(Tanneries Du Puy)、レミー・キャリアット社(Rémy Carriat)、アノネイ社 (Tannerie d’Annonay) 等々、
ただ、タンナーごとに得意とするカラーリングは僅かに異なるかも知れません。
例えば同じフランスでもレミー・キャリアット社のカラーリングは、南仏らしい鮮やかさと力強い彩度が大きな特徴で、代表作であるラグーンやトリヨン・クレマンスなども原色に近いフレッシュなイエロー、鮮烈なレッド、南仏の海を思わせるブルーやターコイズ等、鮮やかな発色も得意としています。
タンナーによって作り出す色の個性が少しずつ異なりますので、それぞれに良さがあって面白いです。
このようにフランスの名タンナーが作るカラーバリエーションの数は他国のそれをはるかに超えていますので、タンナーごとに正確な色数を把握している人は殆どいないのではないかと思っています。
私たちが見ているカラーは全体のほんの一部であり、もどかしいのは全てのカラーや日本に入ってこないレアカラーなどはほぼお目にかかれないという点です(実に見てみたいものですが・・・)。
ちなみに11DROPSでは珍しいカラーを少しでも入手したらすぐに製品にしていますので、これからもどうぞお楽しみに。












