10年、20年をともに。

革製品は、いつ完成するのでしょう。
職人が最後の糸を切ったとき。
磨き終えたとき。
店頭に並んだとき。
Hasが考える革製品の美しさは、その瞬間だけにあるものではありません。
むしろ、そこから始まっていきます。
革は、人の手に触れることで変わります。
少しずつ柔らかくなり。
色を深め。
光を受けるたびに、艶を増していく。
小さな傷がつくこともあります。
形が少し馴染んでいくこともあります。
けれどHasにとって、それらは単なる「劣化」ではありません。
使う人と過ごした時間が、革に刻まれていくこと。
それもまた、天然皮革だからこそ楽しめる美しさです。
Hasが多くの製品に使用しているバケッタレザーは、植物由来のタンニンで時間をかけて鞣され、オイルを含ませて仕上げられています。
使い込むほどに艶が増し、色に深みが生まれ、その人だけの表情へと育っていく。
新品の革には、新品の美しさがあります。
けれど、5年使った革には5年の美しさがある。
10年使ったものには、10年という時間でしか生まれない表情があります。
だからHasは、つくった後のことも大切にしています。
革製品を長く使っていれば、糸が傷んだり、金具に不具合が生じたり、革のケアが必要になったりすることがあります。
そんなとき、買い替えることだけが答えではありません。
手入れをする。
必要なところを直す。
そして、また使う。
Hasでは、メンテナンスや修理にも対応しながら、製品を長く使い続けることを支えています。
それは単に、丈夫なものをつくるということとも少し違います。
時間を重ねることそのものに、価値を見つけること。
革の表情が変わる。
持つ人の暮らしも変わる。
それでも、その鞄や財布はそばにある。
最初は少し硬かった革が、いつの間にか手に馴染んでいる。
新品だった頃にはなかった艶が生まれている。
ふと見ると、そこに自分が使ってきた時間が残っている。
そうして革製品は、職人の手を離れた後も、少しずつ完成へと近づいていくのかもしれません。
Hasが届けたいのは、買った瞬間だけ美しいものではない。
今日よりも数年後。
数年後よりも、さらにその先。
10年、20年をともに。
使い、手入れし、必要なら直しながら、暮らしの中で育てていく。
その長い時間まで含めて、Hasは革製品をつくっています。

