article image

革製品は、いつ完成するのでしょう。

職人が最後の糸を切ったとき。

磨き終えたとき。

店頭に並んだとき。

Hasが考える革製品の美しさは、その瞬間だけにあるものではありません。

むしろ、そこから始まっていきます。

革は、人の手に触れることで変わります。

少しずつ柔らかくなり。

色を深め。

光を受けるたびに、艶を増していく。

小さな傷がつくこともあります。

形が少し馴染んでいくこともあります。

けれどHasにとって、それらは単なる「劣化」ではありません。

使う人と過ごした時間が、革に刻まれていくこと。

それもまた、天然皮革だからこそ楽しめる美しさです。

Hasが多くの製品に使用しているバケッタレザーは、植物由来のタンニンで時間をかけて鞣され、オイルを含ませて仕上げられています。

使い込むほどに艶が増し、色に深みが生まれ、その人だけの表情へと育っていく。

新品の革には、新品の美しさがあります。

けれど、5年使った革には5年の美しさがある。

10年使ったものには、10年という時間でしか生まれない表情があります。

だからHasは、つくった後のことも大切にしています。

革製品を長く使っていれば、糸が傷んだり、金具に不具合が生じたり、革のケアが必要になったりすることがあります。

そんなとき、買い替えることだけが答えではありません。

手入れをする。

必要なところを直す。

そして、また使う。

Hasでは、メンテナンスや修理にも対応しながら、製品を長く使い続けることを支えています。

それは単に、丈夫なものをつくるということとも少し違います。

時間を重ねることそのものに、価値を見つけること。

革の表情が変わる。

持つ人の暮らしも変わる。

それでも、その鞄や財布はそばにある。

最初は少し硬かった革が、いつの間にか手に馴染んでいる。

新品だった頃にはなかった艶が生まれている。

ふと見ると、そこに自分が使ってきた時間が残っている。

そうして革製品は、職人の手を離れた後も、少しずつ完成へと近づいていくのかもしれません。

Hasが届けたいのは、買った瞬間だけ美しいものではない。

今日よりも数年後。

数年後よりも、さらにその先。

10年、20年をともに。

使い、手入れし、必要なら直しながら、暮らしの中で育てていく。

その長い時間まで含めて、Hasは革製品をつくっています。