細部に宿る、職人の美意識

美しい鞄は、目立つ部分だけでつくられるものではありません。
北海道・札幌のアトリエで、職人・田中克幸が一つひとつ手がける leather works KATSUYUKI TANAKA。
デザイン、裁断、縫製、仕上げまで。
一人の職人が革と向き合い、その個性を見極めながら、長く使い続けられる一品へと仕立てていきます。
そのものづくりを象徴するひとつが、革の裁断面である「コバ」。
何度も丁寧に磨き、熱を加えて仕上げることで、美しい表情と耐久性を引き出します。
一方で、デザインによっては、あえて磨き込まず、鋭く裁断した革の断面そのものを生かすことも。
決められた方法を繰り返すのではなく、その鞄にとって何が最も美しいのかを考え、仕立て方を選ぶ。
そこに、職人としての美意識が表れています。
そして、鞄の強度を支えるのが「総手縫い」。
ハンドルや根革など負荷のかかる部分を、一針ずつ力加減を調整しながら縫い上げます。
高級麻糸を用いたサドルステッチは、強さとしなやかさを備えるだけでなく、立体的なステッチそのものが鞄の表情となっていきます。
目指しているのは、買った瞬間だけが美しい鞄ではありません。
手に馴染み、艶が増し、使う人の時間が刻まれていく。
年月を重ねるほどに、さらに愛着が深まっていくもの。
効率ではなく、手間をかけること。
流行ではなく、自らが美しいと信じるものをつくること。
目には見えにくい細部にまで積み重ねられた時間と技術。
その一つひとつが、KATSUYUKI TANAKAの鞄に静かな存在感を宿しています。

