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「人がやらない事をやってみたい。私にしか出来ないモノをつくりたい。」

Hasの日髙聡生が、20年以上にわたるものづくりの中で大切にしてきた想いです。

その言葉は、何か奇抜なものをつくりたい、という意味ではありません。

まだ自分が知らない素材。

まだ試したことのない技法。

そして、自分だからこそできる表現。

そこに目を向け、考え、手を動かし続ける。

日髙のこれまでを振り返ると、その姿勢は一つの作品だけに表れたものではないことが分かります。

ファッションを学び、洋服の世界から革の世界へ。

革製品メーカーで製造と企画を経験しながら、本格的な手縫い鞄の技術を学ぶ。

そして、同じものを数多くつくるのではなく、一点物の手縫い鞄をつくる道へ。

その後も、より良い素材を探し、仕立ての技術を磨き、染色や素材そのものの加工へと、ものづくりの領域を広げてきました。

そんな歩みの中で、あるとき一つの線がつながります。

革と、漆。

ファッション。

アート。

建築。

古物。

音楽。

日髙自身を形づくってきたさまざまなものが重なり、その先に見えてきた組み合わせでした。

けれど、思いついたからといって、すぐに形になったわけではありません。

漆皮を独学で研究し、何年も試作を繰り返す。

磨いては失敗する。

また考え、手を動かす。

漆の表情を残しながら、革製品として必要なしなやかさをどう残すのか。

試行錯誤の末に生まれたのが、現在のHasの漆皮です。

Hasのものづくりには、完成された技術を繰り返すだけではない面白さがあります。

一枚の革の個性を見ること。

自ら色をつくること。

縫い目や金具をあえて見せないこと。

古くからある漆皮という技法を、自分なりの革製品へとつくり直すこと。

一見すると別々の仕事にも見えます。

けれど、その根にあるものは同じなのかもしれません。

自分は、この素材で何ができるのか。

既にある正解に合わせるのではなく、自ら問いを立て、その答えを手で探していく。

だからHasの製品には、日髙がこれまで見てきたもの、学んできたこと、そして積み重ねてきた時間が少しずつ重なっています。

誰かと違うものをつくることが、目的なのではない。

自分が美しいと思うものを追い続けた先に、結果として、他にはないものが生まれていく。

私にしかできないものを。

その言葉は、完成した一つの作品を指すものではなく、日髙聡生がこれからもものづくりを続けていくための、ひとつの姿勢なのだと思います。